ファッションECにおけるSNSの立ち位置は?
凄まじいスピードでWebトレンドが移り変わり、進化し続けるテクノロジーに頭を抱えているファッションEC担当者も多いのではないでしょうか。
ビジネスの根本や方針はしっかりと持ちつつも、戦術レベルでこういったトレンドに対してどのように対応をすべきかを日々決めていかなければなりませんね。
SNSについても運用方針や効果測定に関しても、まだまだジャッジが出来かねているブランドも多いかと思います。
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直近のSNS周りのトレンドは
・購買ボタンなどの設置
各SNSが「購買」や「インストール」「登録」などのボタンを設置できるようにしています。対応はFacebook、Instagram、Twitter、Pinterestなど。
・動画への注力
各SNSがいずれも動画広告のメニューを強化、自動再生の形式が主流で、タイムラインに流れるとすぐに動画が再生されるため、視聴率は決して低くはない数字です。
・Instagram日本での広告をローンチ
高度なターゲティングができる広告を全企業が利用可能になりました。一部システムエラーで広告出稿が出来ないアカウントもあるようですが、これはすぐに解消されるでしょう。
このように広告メニューの強化はどのSNSでも活発になってきています。
Eコマースへの影響はいかほどか
現在、上記のようなSNSからの流入は全体セッションの5%ほどしかないのが現状ですし、SNSからの流入セッションも極端にCV率が高いわけではありません。
そのため、直接的な売上へのインパクトは殆ど無いないと言っていいでしょう。
もちろんLINEのようなコミュニケーションツールはメディアとしてのアプローチが全く異なるため、例外です。
しかし、ディスプレイ系の広告(リターゲティングを除く)と比較すると自分のタイムラインに流れてくるSNS広告とでは広告の認知が極端に変わり、クリック率も高い傾向にあります。
また長期的な効果として、初回訪問~購入までのどこかのフローにSNSとの接触があり、結果的に購入をしているユーザも10%程度は存在することから、効果がないという結論にもなかなか達しないのです。
投稿と広告の2軸で考える
各SNS毎に世界観や、どういったコンテンツが響くのかは異なりますが、いったんそれについては別の記事で考察を書こうと思います。
ファッションECでは、投稿と広告を混同してしまうことは避けなければなりません。
投稿はブランドのファンに対する発信のため、商品の投稿やお得なキャンペーン内容などに抵抗はありませんが、広告はファン以外に対するアプローチのため、前述のコンテンツ発信では違和感を与える場合や、期待した効果に繋がりにくい傾向にあります。
では広告では何を発信すればよいか、という話ですが、極論、ブランド情報の発信を行わないということではないかと考えます。
ケーススタディ:アウトドアファッションのパタゴニア
SNSにおけるユーザとのコミュニケーション、特に広告では、ブランドの発信したい情報に固執すると良い結果を得ることが出来ません。
ターゲットになるユーザの欲しいと思う情報や深層的なニーズを満たすコンテンツを発信してこそポジティブな結果を得ることが出来ます。
アウトドアファッションのパタゴニアでは、ウェブ上で各カテゴリ毎で環境保全への取り組みやアンバサダーを選出し、ブランドの世界観を伝える取り組みを行っています。
こういったコンテンツはLTVレベルで貢献してもらえるようなユーザに対して良いイメージを植え付けることが出来ます。
ブランドの世界観に共感してもらうことが出来れば、そのユーザはよほどの事がない限り離れることはありません。
ケーススタディ:時計ブランドのダニエルウェリントン
セレクトショップでもよく見かけるようになったダニエルウェリントン。
今年よく見かけるようになってましたね。
このブランドは商品をコンテンツに溶け込ませることに、非常に考えこまれているように感じます。
どういう事かというと、複数のインフルエンサーにブランドのアンバサダーを囲い、定期的にSNSで情報を発信しているようです。
このアカウントは、シンガポール在住の女の子が「旅先×食」をテーマにした写真を構成を変えず投稿しており、フォロワー数も189,000人います。
上図はそのうちの1つの投稿です。
よく見ると女の子はダニエルウェリントンの時計を着けており、コメントにはディスカウントのコードが記載されています。
このように、自身の興味が強いコンテンツの中に商品を溶けこませることで、広告という嫌悪感を与えず、それに共感した人に購入してもらえることが可能になっていて、非常に上手い手法です。
最後に
SNSではそれぞれに世界観があり、その世界観の中で情報発信を行う必要があります。直接的に売るための投稿や広告は期待した効果は出ないことがほとんどではないでしょうか。
そのため、直接コンバージョン以外の評価指標を持つことと、誰に対して情報を発信するのかを考えたコンテンツでなければならないのではと思います。
SNSで効果を上げているブランドではこの2点をしっかりと持てているのではないでしょうか。
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