EC Hack ”ファッション通販/WEBマーケティングのネタ帳”

eコマース界隈の情報をアウトプットしていきます。

ブランドアプリの機能比較から見える現状と展望。セレクトショップを中心に。

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昨今のスマートフォンユーザ増加に伴い、またオムニチャネルというバズワードも後押ししてか、様々なブランドからアプリリリースが目立っています。

単純にブランドのアプリをリリースしていないと、時代の流れに取り残されてしまうということもありえますね。

3年ほど前は、スマートフォンサイト構築の時もWebに対してポジティブな企業は早くからスマートフォンサイトの対応を行っており、現在はその頃のノウハウを、UI(ユーザインターフェース)に落としこんでいるように思えます。

 

アプリが必要な3つの理由

①アプリはスマートフォンサイトとは根本的に異なる

スマートフォンサイトの構築の有無であれば、サイトに来てくれるユーザに変化は無い為、流入の取りこぼしは避ける事が出来ます。その後の使い難さなどが原因で離脱をしてしまうかもしれませんが、取りあえずは最初の取りこぼしには影響はありません。

しかし、アプリはこれとは異なり、最初の取りこぼしを起こしてしまう可能性があります。アプリをダウンロードしたユーザはわざわざアプリのブラウザを起動する手間はなく、しかも一度アプリでメンバーズIDを連携しておけば、タイムアウトによる再ログインも行う必要がありません。

アプリをいくつかダウンロードしている方はご存知だと思いますが、アプリの起動を促すPUSH通知というものを送ることができ、ブランドとの繋がりを潜在的に意識させることも可能となっています。

 

②スマートフォンユーザの増加

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(出所:日経BPコンサルティング

上記はスマートフォンの普及率を調査されたグラフになります。

サイトで対象としているターゲットが異なるので利用率をベースにしてみてよいと思います。すでに利用率で見ても50%に迫る勢いで来ており、ファッション関連のサイトはスマートフォン比率も前から高かったため、トラフィックの割合で見ると多いところで80%まで達するブランドも出てきているようです。

 

③ファッションEC市場は継続成長、伸び率は鈍化傾向

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(出処:矢野経済研究所

矢野経済研究所の発表では前年度比120.0%で、1兆2,614億円と引き続き堅調な伸びを見せているとのことですが、その伸び率は2013年度では125.8%と、鈍化傾向にあるように思えます。加えて、モール系ECサイトのサービス面の拡充や参入障壁が下がったり、ほとんどのブランドでは自社サイトの運営に乗り出していたりするため、今後より一層顧客の囲い込みを行っていく必要があります。

 

セレクトショップのアプリを調査してみた

と前置きはここまでにして、今回そんなアプリ戦略の各企業の現状を調査するためにセレクトショップを中心にアプリをダウンロードして機能面を比較してみました。

比較表がこちら↓

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※BEAMSのアプリへの取り組みはかなり特異なタイプに分類されるかと思い、対象から外しています。Googleなどのように、機能に特化した形でアプリ自体をそれぞれ開発しているようです。

 

アプリの機能として以下のように切り分けました。

・パーソナル

 └ユーザ情報または、行動履歴などのパーソナルデータ

・コミュニケーション

 └ユーザとの繋がりを実現できる、または情報発信機能

・店舗送客

 └実店舗への導線・機能

・コンテンツ

 └その他ユーザの訪問きっかけとなるコンテンツ

 

それぞれのアプリ戦略について考えてみる

UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)

・アプリの役割を2分化することで、目的を明確に切り分けている

 └会員アプリは既存顧客向け、オンラインストアアプリはライト会員との繋がり

・パーソナル情報も深度を切り分け

 └オンラインストアアプリは誰でも気軽に利用できるように

・課題点はアプリが分かれていることでデータ連携が不十分

 └商品データ、購買データ、会員データ、できればログデータも連動していることで扱えるデータの幅が増えるのかなと感じました

 

BAYCREW'S(ベイクルーズグループ)

・会員向けの機能が充実しています

 └ユナイテッドアローズの会員アプリにちょっとした読み物コンテンツが加わっているイメージです

・今後は(今も行っているかも)、会員の購買履歴と紐付けたアクションを行うのかも

 └離脱しそうなユーザに対してクーポン配布など

 

URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)

・ブランドの世界観を打ち出すコンテンツが豊富

 └スタイリングや商品など画像のクオリティが高いからなせる見せ方

・ブランドの世界観を打ち出すのであれば今後はブログもアプリ内で完結か?

・パーソナル情報が不十分か

 └顧客の囲い込みという視点で見るとアプリ内で購買履歴や、好きなスタッフがいるショップをフォローする機能も必要かもしれません

 

nano・universe(ナノユニバース)

・コンテンツよりも会員アプリとして機能

 └ポイント履歴や購買履歴などはWebへ飛ばしているので会員だったら余計手間に感じてしまいそう。

・バーコードスキャンでしか商品をお気に入り登録できない?

 └活用頻度は高いのかな。ユナイテッドアローズは前のセミナーでは使われていないって言っていたので気になる

・会員・購買情報に紐付けたメッセージ配信

 └これは直近で(すでに実施している?)実施するだろうな。

 

SHIPS(シップス)

・読み物コンテンツ

 └会員向けの機能はなく、コンテンツ発信

・コメント機能

 └他にはない機能。ユーザとのコミュニケーションを取るツールとして活用していくのだろうか。

 

FREAK'S STORE(フリークスストア)

・一番バランスの取れたアプリ

 └ベイクルーズやユナイテッドアローズのパーソナル機能には劣るが、その分ユーザが継続的につなってもらえるコンテンツが充実

・会員・購買情報に紐付けたメッセージ配信

 └これも今後実施していくのだろうか。NEWS欄に自分の情報に紐付けた内容が入ってくればいいなーと思った。

 

 

アプリのベースはだいたい固まった?

 

 

それぞれのアプリを見ても、会員向けの機能やどういったコンテンツを載せるかは多様だけど、ある程度ブランドとしてのアプリの方向性は決まった段階なのかなーと思う。

アプリをハブとして複数のデータを連携させている例はどんどん出てきているけど、得られたデータを活用しているのはMUJIぐらいなのかなという印象です。

今後どのブランドにも共通する課題ですね。その際のポイントはどれだけ時間をかけて正確なデータを出すかではなく、ゆれはあってもある程度の信頼度を保ったデータを早く出せる体制を作ることなのかなと思います。

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